【学術発表】ミネラルコーティング歯ブラシによる歯の再石灰化に関する検討

【概要】大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学教室 がMISOKAの再石灰化に関する研究を実施し、MISOKAによる再石灰化がミネラル無しのものに対して約2倍促進することが確認された。一度目の研究を補完する為、再度再石灰化に関する研究を行った。

【再石灰化とは…】再石灰化とは、 歯を脱灰(歯のカルシウムが酸により溶け出す現象)から守る唾液の自然治癒のメカニズム。 唾液により再石灰化を促すことで、初期虫歯の改善が期待できる見込みがあり近年注目されている。

【方法】

ウシの抜去歯牙からエナメル質を含むブロックを作製し、37℃の脱灰溶液に7日間浸漬して脱灰エナメル質を形成した。A群としてミネラルコーティング有りのMISOKAおよび蒸留水、B群としてミネラルコーティング無しのMISOKAおよび蒸留水、C群としてミネラルコーティング無しのMISOKAおよびフッ化物配合歯磨剤(1450 ppm)を用いて実験を行った。

脱灰エナメル質の一部をネイルバーニッシュで被覆し、被覆した部分を脱灰領域、被覆していない部分を再石灰化領域とした。その後、脱灰・再石灰化サイクルを7回行った。脱灰・再石灰化サイクルでは各群で用意した材料で歯面をブラッシングし、37℃の脱灰溶液に4時間浸漬し、再度ブラッシングした後に37℃の再石灰化溶液に19時間浸漬した。再石灰化サイクル後はアセトンでネイルバーニッシュを除去し、ホルマリンで固定した後、コンタクトマイクロラジオグラム撮影を行った。フィルムを光学顕微鏡でデジタル撮影後、脱灰領域と再石灰化領域のエナメル質における脱灰部分の面積を測定して再石灰化率を計算した。

【結果】

光学顕微鏡でフィルムを観察したところ、B群ではエナメル質の再石灰化が認められなかったが、A群およびC群ではエナメル質の再石灰化が認められた。また、A群の再石灰化率はC群の再石灰化率の約2倍の値を示した。

本研究の結果、MISOKAのミネラルコーティングにはエナメル質の再石灰化を促進する効果があることが再確認された。また、MISOKAのミネラルコーティングは高濃度フッ化物配合歯磨剤を超える再石灰化を促進する可能性があることが示唆された。